すぐわかるイスラームの美術

建築・写本芸術・工芸

桝屋 友子 著

価格
2,200円(税込)
刊行
2009年10月
ISBN
9784808708351
Cコード
0070
判型
A5
ページ数
152

内容

偶像崇拝禁止と動物表現の忌避といった宗教上の理由から、抽象的・様式的表現を発展させ独自の装飾美をつくりあげたイスラーム美術 を、建築・写本芸術(書と絵画と装丁)・工芸の各ジャンルにわたってバランスよく紹介しています。「美術」を通してイスラーム世界に親しみ、歴史や宗教に 触れることができます。
◆イスラーム美術の全容をオールカラーで簡潔に紹介
見開きワンテーマを基本に24頁で項目を設定、知っておきたい名品を多数厳選しました。見出しと写真だけでも、イスラーム美術の変遷と見どころが概観で きます。。入門者向けにここまでコンパクトにしかも体系的にビジュアルにイスラーム美術を紹介したのは、本書が初めてです。
◆コラムや基礎講座で、ちょっとした「イスラーム通」に
高度に洗練された「文様」や、絵画からみえてくるイスラーム特有の「文化」など、関心の高いテーマは特集頁をもうけて詳しく解説してあります。また、戒律 や儀礼、王朝の変遷などイスラーム美術の理解に欠かせない宗教的・歴史的背景についても基本的な知識が得られるよう、基礎講座や豆知識コラムを各所に配し ました。全くの初心者の方も、抵抗なくイスラーム美術の精華を楽しむことができます。

目次

イスラーム早わかり講座
イスラーム美術へのいざない
第1章 建築
----緻密な装飾と構造が魅了する美の空間へ
◆イスラーム建築の特徴を知る
ビザンティンの影響を残す、最古の宗教建築 岩のドーム
ムハンマドの住居兼礼拝所が起源 モスクの始まり
集団礼拝のための広大な空間 大モスクの誕生
◆Pick up ミナレット/ミフラーブ
ヨーロッパの建築技術との融合によって築かれた コルドバの大モスク
イランの大モスク建築発展の様子を体現 イスファハーンの大モスクと王のモスク
礼拝堂という役割のみにとどまらない モスク複合施設
用途や都市空間を考慮して建てられた 小規模なモスク
現地の素材と建築技法を融合 東方への伝播
そしてさらなるフロンティアへ 多様化するモスク
宗教学者・指導者を育成する寄宿学校 マドラサ
◆イスラームの文様1 幾何学文様
築造によって尊崇の念を表する 聖人の墓廟
権力と財力が建築様式に表れた 王族の墓廟
強固な城塞の中で華麗な装飾美を誇る アルハンブラ宮殿
オスマン朝スルタンの壮大かつ絢爛たる居城 トプカプ宮殿
斬新な趣向を凝らしたユニークな構造 イスファハーンの宮殿群
インドの建築様式に立脚 ファテプール・スィークリ-の宮殿
交易で往来する人々でいつも賑わう キャラヴァンサライとバーザ-ル建築
◆イスラームの文様2 文字文様
◆Pick up 浴場建築
第2章 写本芸術
----職人の精魂が宿る書画と装丁の世界
◆イスラーム写本の特徴を知る
厳密な規範にもとづく書体で神の言葉を表す アラビア書道の誕生
美しい見栄えと読みやすさを求めて発展 初期のコーラン写本
聖典にふさわしい書体と彩飾技術の完成 後期のコーラン写本
◆イスラームの文様3 植物文様
ユニークな挿絵がより好奇心をそそる 科学書の写本
豊かな人物表現と構図の多様性が魅力 アラビア語の物語写本
◆Pick up 『アラビアン・ナイト』
色彩と構図の妙が想像力を刺激する ペルシア語の物語写本
◆Pick up イル・ハーン朝の絵画大革命
◆Pick up 大画家ビフザード
挿絵が見せる虚実のはざま 歴史書の写本
画家の個性が際立つ愛蔵のかたち 画帖に収められた絵画
◆Pick up ピーリー・レイスの世界地図
◆絵画でわかるイスラーム1 ムハンマド描写の変遷
◆Pick up イスラームの天使たち
第3章 工芸
----儀礼具や日用品を彩る多様な意匠
◆イスラーム工芸の特徴を知る
中国磁器を手本にイスラーム独自の技法へ 陶器・発達の歴史
手の込んだ工程を経て放たれる輝き ラスター彩陶器
ラスター彩で名を残す一大陶芸都市 カーシャーン陶器
目のさめるような赤が全体のアクセントに イズニク陶器
◆Pick up  中国磁器再現への挑戦
◆Pick up  イスパノ・モレスク陶器
◆絵画でわかるイスラーム2 描かれた宮廷
形と光と色で楽しむ煌めきの芸術品 ガラス器
◆Pick up イスラーム・ガラスの東方伝播
落ち着いたほのかな色が印象に残る 玉器
卑金属に輝きを与える職人芸 金属器
素朴な素材だからこその味わい深さ 木工品
乳白色のつやと質感が特徴 象牙品
王朝それぞれの様式を確立 テキスタイル
無数の糸で紡いだ華麗なる文様美 絨毯
◆Pick up 西洋絵画の中のイスラーム絨毯
◆絵画でわかるイスラーム3 イスラームの霊獣
おわりに----日本人を魅了してきたイスラームの美術
用語解説
日本で見られるイスラーム美術----美術館紹介

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