もっと知りたいゴッホ

圀府寺 司 著

価格
1,760円(税込)
刊行
2007年12月
ISBN
9784808708160
Cコード
0071
判型
B5
ページ数
80

内容



●日本人に最も愛され続ける画家の、魂の軌跡
37歳という若さで自らの命を絶ったゴッホ。画業はわずか10年と短いが、作風は、夢や希望、失意や挫折といった画家の内面と呼応するかのように変化している。本書はその変遷を、パリ、アルル、サン・レミ、そして終焉の地オーヴェル・シュル・オワーズと、ゴッホが移り住んだ場所をキーワードに追っていく。
●伝説のヴェールをはいで見えてくるゴッホの新たな魅力
著者は、伝説に彩られたゴッホの生涯から虚像を排し、実像を浮かび上がらせる作業を丁寧に行っているゴッホ研究の第一人者。本書ではその成果をもとに独自の知見を披露。絵解きのヒントや弟テオとの書簡など読者一人ひとりの鑑賞の手だてとなるような情報をできるだけ盛り込んだ。

目次

本物のファン・ゴッホ作品は?
Prologue 〈神の言葉を種まく人〉にぼくはなりたい
Chapter1 画家への「改宗」
たった一度だけ持った自分の「家族」
「掘る人」──楽園追放のテーマ
構成画(タブロー)への挑戦
父の死、朽ちていく教会
Chapter2 光の世界への入り口 パリ
印象派に学んだ色彩表現
浮世絵との出会い
太陽の花、「ひまわり」の登場
Chapter3 日本の夢、あるいは芸術家のユートピア アルル
光あふれる、地上の楽園
芸術家の共同体をつくる夢
「教会」が消え、「太陽」が出現
太陽とひまわりに重ねた理想
「日本人」の顔を持つ肖像
ユートピアの崩壊
Chapter4 神か自然か──壮絶な葛藤の軌跡 サン・レミ
「楽園追放」ふたたび
「宗教」と自然の間で苦悩する魂
創作としての「模写」
愛しい人々に贈るメッセージ
Chapter5 オーヴェール・シュル・オワーズから終わらない終章へ
自殺、そしてつくられた絶筆神話
流転する絵画

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著者プロフィール

圀府寺 司 著

1957年、大阪府生まれ。大阪大学文学部(西洋美術史専攻)卒業。1981〜88年、アムステルダム大学美術史研究所に留学し、文学博士を収得。オランダ・エラスムス財団よりエラスムス研究賞を受賞。広島大学総合科学部助教授、大阪大学文学研究科(美術史)教授を経て同名誉教授。2004〜5年、ワルシャワ・ユダヤ歴史博物館研究員。著書に、『ファン・ゴッホ 自然と宗教の闘争』(小学館、2009年)、『ゴッホ 日本の夢に懸けた芸術家』(角川文庫、2010年)、『ああ、誰がシャガールを理解したでしょうか? 二つの世界間を生き延びたイディッシュ文化の末裔』(編著、大阪大学出版会、2011年)、『「ゴッホの夢」美術館 ポスト印象主義の時代と日本』(編著、小学館、2013年)、『ユダヤ人と近代美術』(光文社新書、2016年)、『ファン・ゴッホ 巡りゆく日本の夢』(「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」公式学術版カタログ、青幻舎、2017年)、『ファン・ゴッホ生成変容史』(三元社、2023年)など、訳書に『ファン・ゴッホの手紙Ⅰ・Ⅱ』(新潮社、2020年)がある。