もっと知りたいムンク

千足 伸行 監修・著/冨田章 著

価格
1,980円(税込)
刊行
2018年10月
ISBN
9784808711214
Cコード
0071
判型
B5
ページ数
80

内容

本書は、世紀末という暗い時代に場所を得て、魂を「解剖」した画家ムンクを紹介する美術入門書。ムンクの作品に込められた、極めて個人的な魂の軌跡を読み解き、人々が感じていた捉えどころのない不安を見事に可視化した圧倒的な造形力に迫る。
ムンクは前半生に「生命のフリーズ」をはじめ代表作のほとんどを描いており、その後の画業についてはあまり語られてこなかったが、心身の病に苦しみつつも結果的には80年の生涯をまっとうしている。本書では、根本的な部分で生に執着し、より力強く生を肯定した芸術家の真実を見つめる。

目次

はじめに

序章 「病と死の家」に生まれて
 【特集 もっと知りたい 1】北欧の近代絵画


第1章 クリスチャニアからパリへ
●クリスチャニア・ボエーム
●印象派との出会い
 名画を読み解く1《病める子》
 【特集 もっと知りたい 2】家族の肖像


第2章 「不安の時代」の画家
●ムンク・スキャンダル
●文学者との交流
●自画像
 【特集 もっと知りたい 3】「暗い世紀末」の画家
 名画を読み解く2《カール・ヨハン通りの夕暮れ》
 名画を読み解く3《叫び》
 【特集 もっと知りたい 4】繰り返される主題
●性のめざめ
●「生命のフリーズ」
●愛と死にまつわる詩
●汝、自身の生活を描くべし
 【特集 もっと知りたい 5】ファム・ファタルたち
 【特集 もっと知りたい 6】版画への挑戦
 名画を読み解く4《生命のダンス》
●ノルウェーの風景
●オースゴールストラン
●発砲事件
●「緑の部屋」シリーズ
 名画を読み解く5《マラーの死》


第3章 死から生へ至る画家 
●オスロ大学講堂壁画
●労働者と風景
●最後の日々


終章 ムンクの遺産

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著者プロフィール

千足 伸行 監修・著

1940年東京生まれ。東京大学文学部卒。TBS(東京放送)を経て国立西洋美術館に勤務。1970−72年、西ドイツ(当時)政府給費留学生としてドイツに留学し、ミュンヘン大学で主にドイツ・ルネサンス美術を学ぶ。帰国後、西洋美術館に復帰。1979年より成城大学文芸学部に助教授として勤務、1986年教授となり、2011年同大学を定年退職。現在同大学名誉教授、広島県立美術館館長。専門分野はヨーロッパの近代、とりわけ世紀末を中心とする美術。主な著書に、『新西洋美術史』(西村書店)、『アール・ヌーヴォーとアール・デコ:甦る黄金時代』(小学館)、『すぐわかるキリスト教絵画の見かた』『もっと知りたいミュシャ 改訂版』『もっと知りたいクリムト 改訂版』『すぐわかるギリシア・ローマ神話の絵画 改訂版』『すぐわかる幻想美術の見かた 改訂版』『すぐわかる女性画家の魅力』『すぐわかる20世紀の美術』『ミュシャ作品集 増補改訂版』『ミュシャ装飾デザイン集 増補改訂版』(以上、東京美術)などがある。

冨田章 著

1958年生まれ。慶應義塾大学文学部卒。成城大学大学院文学研究科修了。財団法人そごう美術館、サントリーミュージアム[天保山]を経て、現在、東京ステーションギャラリー館長。これまで「ロートレック展 パリ、美しい時代を生きて」「巨匠ピカソ 魂のポートレート」「エミール・クラウスとベルギーの印象派」「シャガール 三次元の世界」「メスキータ」などの展覧会に関わる。主要論文に「1887年の〈二十人会〉におけるジョルジュ・スーラ ベルギー新印象派に関する考察」(1991年)、「スーラの自画像」(2011年)など。著書に『偽装された自画像 画家はこうして嘘をつく』(祥伝社、2014年)、『代表作でわかる 印象派BOX』(講談社、2018年)、『ビアズリー怪奇幻想名品集』(東京美術、2021年増補改訂版)、『ゴッホ作品集』(東京美術、2021年)、共著に『魅惑のベルギー美術』(神戸新聞社出版局、2013年)、『初老耽美派 よろめき美術鑑賞術』(毎日新聞出版、2019年)、訳書にアラン・ボウネス著『ゴーガン』(西村書店、1994年)、アリックス・パレ著『魔女絵の物語』(グラフィック社、2023年)などがある。